TAKINAMI THEATER

山形発 旬のクラフトビール Brewlab.108 (ブリューラボ・トウハチ)

2021.11.20

2020年2月、将棋の駒を模した巨大な看板がそびえ立つ複合施設「将棋むら天童タワー」の一角に「Brewlab.108(ブリューラボ・トウハチ)」を立ち上げたのがブルワーの加藤克明(かとう・かつあき)さん(天童は将棋の駒の名産地)。

加藤さんの本職はエンジニア。製薬会社のマネージャーを務めながら、マイクロブルワリーの醸造家です。ビールを自ら造ろうと思いついたのは、飲酒が厳禁のサウジアラビアに2年間駐在していたとき。「オンラインで醸造を研究し、いつかビール造りを趣味としてやってみたいと思っていました。未経験でしたが、そこはエンジニア。できるのではないかと考えたのです」と加藤さん。

 

2016年に夫婦で山形に移住したことを機に、本格的に実験を開始。運が味方をしました。同じマンションに日本酒販売店「La Jomon」の店主、熊谷太郎(くまがい・たろう)さんが住んでいたのです。さまざまな蔵元とのコラボ・プロジェクトで知られる熊谷さんは、天童ブルワリーを経営する「旅館・湯坊いちらく」の関係者や、山形県内の果樹生産者さん達を加藤さんに紹介してくれました。2017年末、加藤さんは天童ブルワリーで1年間の見習い期間をスタート。本業を続けながら、週末は天童ブルワリーで製造見習い。その後、月山ビールでさらに半年間、休日返上で腕を磨き2019年、「Brewlab.108」を開業。

「Brewlab.108」は、天童産リンゴといった地元の果物や、ドバイ産デーツなどエキゾチックな要素を加えた7種類のビールを現在は製造。熊谷さんの協力を得て、清酒酵母と米麹を使った、薄く濁った小麦ビール「#006 Koji~White Snake~」も発売。このビールは11月に、「インターナショナル・ビアカップ2020」の酒イースト部門と、Japan Origin部門でカテゴリーチャンピオンをW受賞しました。

 

ブルワリーの名は、醸造する”Brewing”と研修室の”Laboratory”を組み合わせた造語。また108には3つの意味が掛かっており、煩悩の数だけ様々なテイストのクラフトビールをリリースしたい加藤さんが大好きだった東京・中目黒の居酒屋「藤八(とうはち)」にオマージュを捧げた108という名前。そして加藤さんご夫妻の、結婚記念日が10月8日だそうです。

 

Web料理通信様より引用

https://r-tsushin.com/journal/japan/sakagura_tourism_yamagata_2.html?fbclid=IwAR1v5H4iEi8wNv8THj_11ecG3WPZMEbhFgksclBfMOF8EvZuJ2qNdHwk-Hs

 

#006 KOJI~White Snake~ Soul of Yamagataシリーズ 

〇ボディ:ヴァイツェン

ビールの主原料、大麦・ホップに小麦を加えた白いビール(ヴァイス)。なめらかでクリーミィな質感とフルーティーな味わい。

〇副原料

・無農薬ひとめぼれ(山形県南陽市産)

麹と麦芽の並行糖化に加え、清酒酵母である6号酵母による単発酵を組み合わせた独自の発行方式で醸造されたクラフトビール(酒税法上は発泡酒)。

共同開発者である純米酒専門店LaJomon代表 熊谷太郎さんは元酒蔵の蔵人。1級酒造技能士、清酒専門評価者の資格を持ち「6号酵母サミット」を始めとする酒のイベントの開催するなど様々な活動をしています。

使用した6号酵母は現在使われている清酒酵母の中では最古、全国で使われているあらゆる酵母の祖となるものです。太郎さんは「日本古来の酵母でも十分おいしい酒ができる。これを機に日本酒にも目を向けてほしい」と語っています。

名前の由来は、日本最古の神社とされ、酒造りの紙でもある大神(おおみわ)神社の白蛇伝説にちなんでいるそうです。ラベルは白蛇で6号酵母の「六」をデザイン。写真も上からのアングルでは「六」になるように並べて撮ったのですがちゃんと六見えますかね…

 

#001 MogamiBenibana~Ruriko my love~ Soul of Yamagataシリーズ 

〇ボディ:ピルスナー

ラガー(下面発酵式ビール)の女王と言われる、豊かなあわと光り輝く黄金色が特徴。

繊細な花のような香りと爽やかな苦み。

 

〇副原料

・最上紅花(山形県産)

天童市貫津・紅花組合の協力いただき、Brewlab.108 で種をまき、収穫した「見てよし、染めてよし、食べてよし」と言われる、天童の最上紅花です。

・完熟梅(山形県産)

紅花の染色に欠かせなかった梅を完熟させて甘くさわやかな香りを添えた。

ホップの苦みを抑え、香りと余韻を引き出す「ディップホップ製法」を採用。ホップの華やかな香りの後から、完熟梅の香りがほのかに感じられます。

#001は山形県の県花であり、ブルワリーの所在地である天童産の紅花であることからナンバリングされた。

 

○なぜ紅花と冠しているこのビールに梅を使用しているのか

化学染料・薬剤を使わない伝統的な紅花染めには梅を燻製にした「烏梅・うばい」と呼ばれるものを媒染料として使用していました。烏梅は平安時代の延喜式などの書物にも記述があり、古来中国よりその製法が伝わったとされており薬や様々な助剤として使われてきました。16世紀ころから紅花染めをする際の必需品として欠かせない助剤となり、奈良県月ヶ瀬村(現在の奈良市)が一大産地となっていました。

江戸時代には京の紅屋は質の良い紅花の染料を山形から、そして助剤として必須の烏梅を月ヶ瀬村から取り寄せて、高品質な口紅、紅色絹地を作っていたそうです。

 

 

#008 Date~Yeast of Eden~ 禁断の果実シリーズ

〇ボディ:ペールエール

麦芽の風味とホップ感が豊かな味わい。

 

〇副原料

・デーツ(なつめやし・UAE産)

今話題のスーパーフード。

「クレオパトラの美容食」とも言われるほどの鉄分・カルシウム・カリウム・食物繊維が豊富。

・カルダモン(小豆蔲・グアテマラ産)

「歓待のシンボル」とされ、紀元前1000年以上前から生薬やスパイスとして利用。胃もたれを軽減する消化促進・整腸作用や、講習予防・脂肪燃焼・リラックス効果もあるとされています。

 

#069Itaomiki~Rising Sun~ Soul of Yamagataシリーズ

〇ボディー:ヴィットビア(ヴァイツェンのベルギー版)

ビールの主原料、大麦・ホップに小麦を加えた白いビール(ヴァイス)。なめらかでクリーミィな質感とフルーティーな味わい。オレンジビールとコリアンダーを加え、ベルギースタイルに仕上げました。

〇副原料:酒粕

純米酒専門店La Jomon(山形市平清水)プライベートブランド酒「純米酒・六根浄」の新種の酒粕を使用。

6号酵母で鴨下日本酒の酒粕に、同じ酵母を合わせて醸造を重ねる。他に例を見ない異例の製法です。

バナナやリンゴのような、華やかな吟醸香は日本酒酵母ならでは。さっぱりとしながらも、まろやかな味わいです。

Itaomiki とは板御神酒のことであり新酒の酒粕を指す言葉です。ナンバリング「#069」はLa Jomon代表熊谷太郎さんのこだわりのナンバーを冠しました。

 

○祈りの言葉、どっこいしょ

般若心経の一節に「無眼耳鼻舌身意」と出てきます。

つまり「六根」とは大乗仏教において眼・耳・鼻・舌・身・意の人に備えられた6つの感覚器官の働きを指します。

眼は不浄を見ない、耳は不浄を聞かない、 鼻は不浄を嗅がない、舌は不浄を味あわない、 身は不浄に触れない、意(心)は不浄を思わない、 六根清浄とはその六根に生じる罪を清めて消滅させようというものになります。つまり身も心も無垢清浄になろうという 祈りの言葉が「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」 ・ 六根清浄→六根浄→どっこいしょ、と変化したそうです。※La Jomon熊谷太郎様インスタグラムより

話はビールから少し離れますが、人間は六根から間隔を認識するため、仏教では煩悩はこの六根から生まれると考えられています。六根が何かを感じた時、好(すき)・悪(きらい)・平(どちらでもよい)の3種類があり、そのそれぞれに染(きたない)と浄(きれい)の2種類があると考えます。ここまでで6×3×2=36種類。そのそれぞれに現在・過去・未来の3種類があるとされ36×3=108種類。これが煩悩の数の起源とされています。

Brewlab.108の由来の一つに煩悩の数、そしてその六根(浄)から煩悩が生まれる。

加藤克明さんと熊谷太郎さんは何かと縁がありますね。

副原料として旬のものを。また大量生産でいないため、数に限りがございます。

 

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